2021/07/13 23:57

さて、ウクレレを始めた方から良く聞かれるのが「弦をどう選べばいいの?」という質問です!というか、弦は替えないといけないの?とも聞かれます笑

今回も長くなりますが、私の考えるウクレレの弦の話です。

普通弦楽器というのは、弦長が短くなると音が高くなるのが普通です。ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスがまさにそうですね。なのにウクレレはソプラノ~テナーまで同じチューニング。弦長に対して低い音をキープするために、ウクレレという楽器は楽器の大きさに対してずいぶん太い弦を張っています。わかりやすく言うと、倍ほどの長さのギターとほぼ同じ太さの弦です。弦が太いので、弦の影響といえばかなり大きいんです。

そんな影響の大きい弦なので、弦の種類を変えると楽器が変わったかと思うほど音色がガラっと変わります!これがまたウクレレの醍醐味でもあるわけですね!張り替えたけど気に入らないなんて場合は5分で張り替えたりする。人もいます笑


さてさて、まずは弦の寿命ですよね。弦の種類にもよりますが弦には寿命があります。

弦が古くなるとどうなるかと言うと、
音量が小さくなり・・・
ピッチが悪くなり・・・
響きも悪くなり・・・
時にはビビりの原因になったり・・・
等など、悪いことばかりです笑

これは素材にもよりますし、弾く時間にもよるので一概には言えないのですが、フロロカーボンとそれ以外の弦で大きく違います。仮に1日30分弾いたとすると、私ならフロロは3か月以内には張り替えます。というか、もしかしたら切れちゃうかも。フロロカーボンというのは細い細~い繊維の集合体で、カニカマみたいな構造になっています。1本1本はとても細いので少しずつ切れるのです。髪の毛より細い糸がほつれてきた経験がある方もいらっしゃるかなって思います。なので傷がつきやすく、切れやすいのが特徴です。フロロを張っている方は、フレットに当たっている部分を触ってみてください。きっとキズが付いているはずです。
そしてそれ以外の弦なら、半年くらいかなー。そして張り替えて劇的に音が変わってびっくりする、という感じです笑

実際にはよく弾く時期には日に1時間以上は弾くので、ナイロンでも3か月以内には張り替えています。ちなみに僕はカマカのナイロン弦を使用しています。



前置きが長くなりましたが・・・本編です。

弦の種類と言えば主に

・ナイロン
・フロロカーボン
・ナイルガット(ナイルテック)

の3種類ですね!
変わり種と言えば、アクィーラの赤い弦でしょうか。オルカスも赤いのがあったような・・
また、メーカーは全部は書ききれないですが
カマカ・マーチン・ダダリオ・ワース・アクィーラ・ghs・オルカス・フェイマス(キワヤ)などなど。

では、弦の種類について 行ってみましょう!


ナイロン

モノフィラメント構造の弦です。定番中の定番と言えばこれ!
・音量が小さい(フロロに比べると)
・音色が柔らかい
・比較的高寿命
・音量を出そうとすると弦を太くするしかないので、フロロに比べると弦が太い(弦が太いのでウクレレの調整がざっくりしていても気になりにくい)
・弦が太くなるので弾きにくい弦もある
☆ピッキングニュアンスが良く出るので、音色をコントロールしやすい

ブラックナイロンがより柔らかく、クリアナイロンはやや明るめのサウンドです。

〇個人的見解
さて、僕が一番好きな、ナイロン弦です。代表的なメーカーは カマカ・ダダリオ辺りでしょうか。僕はカマカの弦が大好きで、Low-Gのセッティングの時はブラックナイロン、High-Gの時はクリアナイロンのカマカ弦を使用しています。カマカのクリアナイロンは国内ではほとんど流通していないと思うので、レアですね~。
なぜナイロン弦を使うかというと、答えは一つ。「音色をコントロールしやすい」からです。フロロやナイルガットは音色をコントロールするということに関しては非常に難易度が高いと個人的には思います。
しかし、ナイロン弦はあんまり人気が無いんですよね。メリットに対してデメリットが大きいと捉えられているんだと思います。デメリットは、「ピッキングがしっかりできないと鳴らない」ですね。このデメリットは、弦が太くなるほど顕著に感じられます。カマカの弦がその代表で、次いでダダリオのEJ87(チタニウム)などでしょうか。カマカの弦は極太で、国産ウクレレだとナットを削らないと入らない場合もある程です。弦が太くなれば、当然押さえるのにも力が要りますね。しかし、その柔らかい音色・コントロール性は他の弦には絶対に無いので僕はカマカ弦(カマカに限らずナイロン弦)を愛用している訳です。カマカ弦は、ウクレレのセッティングがちゃんとしてないと弾きづらいんです。でも、セッティングがマッチしていればめちゃくちゃ良い音なんですよ~!また、物流が非常に不安定で何カ月も国内への入荷が無かったりもします。(KIDA UkuleleWorksの出荷弦なのでKIDA UkuleleWorksでは大量にストックしています。)


フロロカーボン

細い繊維の集合体です。
・音量が大きく、細い弦でも太いナイロン弦と同じ音量が出る
☆弦を細くできるのでテンションが低く弾きやすい
・音が明るく響きが軽い
・寿命が短め

フロロカーボンと言えば、音量が大きくテンションが低く弾きやすい。これが最大の特徴です。明るく軽い音色も特徴的ですね。代表メーカーは、ワース・マーチンでしょうか。フロロもブラウンやブラックの色がついている物があり、それだと多少音は柔らかくなります。最近は中価格帯以上のウクレレの出荷弦として良く採用されているイメージです。


〇個人的見解
さて、フロロカーボンの特徴ですが、ハリがあり水に沈み(ナイロンは浮きます)、根ずれに弱く切れやすい。ハリがありすぎるので、メインラインに使うとトラブルの原因になり易い。ナイロンと同じ太さだと強度が弱い。一日釣りをしているとガイドにこすれて真っ白になる。伸びないから感度が良いなどと言われるが、結構伸びる。
って、何の話ですかね笑
そうなんです。ナイロンもそうですが、フロロカーボンももとはと言えば釣り糸です。僕は釣りをしますから、釣りではフロロカーボンも使います笑

ウクレレ弦におけるフロロの特徴と言えば、弱く弾いても大きな音が出がちで、音量変化や音色の変化を表現するのは技術が要ります。音量が大きいので弦を細くできテンションが低くなります。故にとても押さえやすく、初心者さんで安いウクレレを買った方にはかなりおすすめの弦です。実際初心者さんのウクレレに張ると、皆さん喜ばれますね。伴奏メインの弾き語りやハワイアンにはピッタリです!
もちろんフロロにも太くてテンションの高い物もあります。

そしてフロロの一番いいところと言えば、フロロ素材のLow-G弦があることです。これにより、Low-Gでも1~4弦の音色を合わせることができます。ナイロンだとどうしても4弦が巻き弦になってしまうので、4弦だけ鉄弦の音になりますよね。1~4弦の音を揃えられるのは、フロロかアクィーラの赤い弦だけです!

次に、伸びないのでピッチがいい なんて言われるけどほんとかなぁ??(僕がそう思うだけかもだけど)
ナイロン並みに伸びますし、ピッチに関しては若干いいかな~??程度です。弦によるピッチの良し悪しは本当に一部の低価格機種だと思います。ピッチが悪いのは大体弦以外の部分に原因があります。もっと言うと、そもそもチューニングが合っていないというかしてない??方がとても多いです。チューニングってすぐずれちゃいますからね。初めのうちは、15分に1度くらいはチューニングしましょうとおすすめしています。そのくらいウクレレのチューニングは狂いやすいです。

また、フロロカーボンは往々にして細目の弦を張りますから、ウクレレ自体が元々持っていた調子の悪い部分が出てしまう場合があります。特に1、4弦のビビりやハイフレットの音詰まりですね。テンションが低い故に弦高が下がり、シビアな調整をしていると、より完璧を求められてしまう、という感じです。ですから、弾きやすいからと言ってあまりにも細い弦を張るのはおすすめできません。

ちなみにあまり太いフロロカーボン弦は使ったことが無いので、もしかするとピッキングニュアンスが出にくいのも弦の細さのせいかもしれないです。タイミングを見て検証してみようかな。

そうだ、フロロカーボン弦はフラメンコギターで良く使います!フラメンコギターとウクレレは奏法が似ている部分も多いので、相性がいいんでしょうね~!


ナイルガット(人工ガット弦)

特徴的な白い弦です。
☆低価格帯の楽器はほぼナイルガット
・音量は小さめ、サスティーン短めでテンション高め
・中音域は柔らかいが、ハイフレットがキンキンと鳴る
・寿命はナイロンと同じくらい

一昔前前までは、低価格帯の出荷弦と言えばどこ製か分からないブラックナイロンと相場が決まってましたが、最近はほとんどのメーカーがナイルガットを採用していますね。おそらく、おそらく、おそらく、大人の事情なのかなとは思ってますが…笑
ハイブランドでアクィーラといえばカニレアですかね。


〇個人的見解
かなり特徴的な音色のナイルガット。テンションが高く弾きにくいイメージだけど、低価格帯の楽器についてるから弾きにくいのは楽器のせい!?KIDA UkuleleWorksではナイルガットを張ってある楽器をよく調整していますが、調整したら弾きやすくはなるけどいつも弦を張り替えたいなって正直思います。弦高を下げると高音がよりキンキンと・・
テンション感の割りにサスティーインも短く音量も小さめ。ナイルガットに何かしらのこだわりがなければ、ナイロンかフロロに張り替えるのをおすすめしています。ガット弦のような音で~って良く言われるけど、ガット弦の音を知らない僕たちにはいまいちピンと来ないですよね。(今でもガット弦も売っています!)


特殊な弦
アクィーラの赤い弦について
アクィーラから、赤い弦が発売されています。特徴としては、テンションが低く弾きやすい。音はナイルガットのようだけど、ナイルガットより柔らかい。触り心地が紙みたい。好き嫌いが別れると思うけどいい弦です!Low-G弦があるので、4弦すべて同じ弦で揃えられるのもいいですね。ただし、やはり4弦を張るためにはナットを調整しなければいけません。


Low-G弦について

Low-G弦、みなさんは何を張られていますか?ほとんどの方はウクレレ弦メーカーから出ているシルバーの巻き線ですよね。この巻き線、ギターと同じ弦なのでサスティーンが長くテンションも低め。金属が巻いてありキンキンするかと思いきや、1週間も張っていれば酸化がすすみ柔らかい音になります。ちなみに僕はLow-Gセッティングにはオーガスチンというクラシックギターの弦、ブラックの4弦を使用しています。

Low-G弦の種類は、大きく分けてシルバーの金属弦、フロロカーボンの2種類です。フロロカーボンは取り付けに加工が必要なので、ちょっとLow-Gも試してみたいという方は巻き弦一択かなと思います。

それぞれの特徴を書いておきますので参考にしてくださいね!

シルバーの巻き弦
・ほとんどの場合、ナットを加工せずに弦交換が可能
・テンションが低くサスティーンが長い
・よりギターに近い音色になる
・すぐに錆びるので3ヶ月程度で交換が必要

フロロカーボン
・4弦全て同じ素材に出来るので音色がまとまりやすい
・弦が太いのでナットを加工しないと装着出来ない
・弦が太くテンションが高め


弦交換の方法について動画を作成しました!